【よんだ本】2013年後半の読んでよかった本

 もう2014年も3月半ばになってしまったのですが、2013年後半(7~12月)に読んでよかった本をまとめました。「読みたい本が思いつかないけど何か読みたい」というような状況の方がもしいたら、参考にしてもらえるとうれしいです。

【エッセイ・ノンフィクション】

「アヘン王国潜入記」 高野秀行集英社文庫

 「謎の独立国家ソマリランド」と続けて読んだけど、やっぱりこの人の好奇心には恐ろしいものがある。アヘン吸引の体験談とかノンフィクション作家としてはすごくおいしいネタだとは思うけど、こういうことを続けているといつか冒険先から戻ってこなくなりそうで怖い。多分本人よりも周囲のほうが怖いと思っていると思う。私の配偶者は普通の仕事してる人でよかった・・・・

【フィクション】

「女王国の城」上・下 有栖川有栖創元推理文庫

 

 2013年は学生アリス/作家アリスシリーズを一気に読んだ年だったんだけど、一番完成度が高いと思ったのが「女王国の城」だった。推理小説としても青春小説としても楽しむことができ、かつ終盤のどんでん返しの美しさ。読ませていただいてありがとうございました、とつい西の方角に向かって頭を下げたくなってしまう感じ。そのうちもう一度最初から読み直して、伏線をじっくり堪能したいと思っている。
 学生アリスシリーズの1つなので、これの前の3長編(月光ゲーム/孤島パズル/双頭の悪魔)を読了後に読んだほうがいい。

「キネマの神様」 原田マハ文藝春秋

 すごくざっくりまとめると、映画を愛するブロガー達の物語。
 ストーリーの作りはある意味とてもわかりやすく、小説を読み慣れている人なら途中でオチは読めてしまうと思う。それでも「読んでよかった!」と推したくなるのは、この小説に出てくるブロガー達の記事が素晴らしかったからだ。私個人はあまり映画を見ないんだけど、作中で次々に繰り出される愛と尊敬に満ちた文章のやり取りには胸が熱くなった。そのせいなのかどうか、とてもテンポよく読めてしまった小説。もっと味わっていたかったのにあっという間だった。
 映画好きの人なら、きっともっと私より楽しんで読める。

「開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―」 皆川博子早川書房

 色々とびっくりする話だった。18世紀ロンドンの解剖学教室で展開する壮絶な光景を「解剖ソング」でコミカルに味付けしながら次々と並べ、貧富の差の激しさが生み出す残酷な社会を容赦なく描写し、エンディングでは読み手に価値観の再構築を迫る。このような小説を80を過ぎた女性が書いたということも含め、すごい話でした。まだまだ読みたいのでいつまでも元気でいてほしい。
 舞台がロンドンなので登場人物がみんなカタカナ名前なんだけど、あだ名を付けてくれたのでとても覚えやすかった。「肥満体ベン」とか「骨皮アル」とか。Kindleはとても便利なんだけど、登場人物一覧を気軽に参照できないので海外の推理小説を読む時に結構辛い。

 続編「アルモニア・ディカボリカ」も早く読まなくては。

「絹の家」 アンソニーホロヴィッツ角川書店

 「プロの作家が書いた本気の同人誌」。私はそのように解釈した。オリジナルのホームズが大好きなので読み始めはちょっと複雑な気分だったけど、最終的にはとても楽しめた。
 登場人物がオールスターすぎる感じもするんだけど、著者は今後もホームズものを執筆しようなどとは考えず、この作品を楽しみ切ろうとしていたのではないかと今は思っている。この人、今後もホームズもの書くのかな。